介護保険のサービスを受けるためには、要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定の申請
お住まいの市町村に要介護(要支援)認定の申請を行います。
誰が申請する?
- 本人または家族
- 地域包括支援センター
- 居宅介護支援事業所
- 介護保険施設(本人が入所している場合)
本人または家族 | 地域包括支援センター | 居宅介護支援事業所 | |
メリット | ・郵送や電子申請できる市町村もあり、相談に出向かなくて良い場合がある。 | ・介護の相談ができる。 ・認定後のサービス導入がスムース。 | ・介護の相談ができる。 ・認定後のサービス導入がスムース。 |
デメリット | ・申請書作成がめんどさい。 ・始めての場合は書き方が分からなかったり、記入ミスがあり時間がかかる。 | ・センターに出向くか、家に来てもらう必要がある。 | ・事務所に出向くか、家に来てもらう必要がある。 ・どこに頼んでよいか分からない。 |
申請に必要なもの
- 介護保険要介護認定・要支援認定等申請書
置いている場所・・役所、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所等
※ホームページからダウンロードできる自治会もあります。 - 介護保険被保険者証
65歳になる誕生月にお住まいの市町村から交付されます。
※お手元に介護保険被保険者証がない場合は役所に相談してください。 - 健康保険被保険者証の写し(2号被保険者(40歳から64歳)の方)
※自治体により、他に必要な書類を求められる場合があります。申請前にご確認ください。
主治医意見書
申請後「主治医意見書」と「認定調査」により、どの程度介護が必要かを判定します。
主治医意見書はどの先生に頼む?
主治医意見書は、介護の手間がどの程度必要かを医学的な観点から判定する資料になります。
申請時に、主治医意見書を作成してくれるお医者さんを決めておく必要があります。
事前に「介護保険の申請をするので意見書お願いします。」と主治医に依頼しましょう!
申請書に記入された医療機関に、市町村が主治医意見書の作成を依頼します。
複数の病院を受診している人は、どの先生に主治医意見書を書いてもらうか迷うと思います。
基本的には主治医の意見書は専門が何科であっても書くことができます。
ポイントは
●本人の体の状態を分かっているかかりつけ医。
●介護が必要になった身体の状態に最も詳しい医師。
病院にかかっていない場合は、市町村の窓口や地域包括支援センターに相談してください。
どこに決めて良いかわからない時は、市町村窓口や地域包括支援センターに相談しましょう。
認定調査
ご家庭に調査員が訪問し、申請者の心身の状況、置かれている環境、病状などについて調査します。
認定調査とは
認定調査は、心身の状況や介護の状況等を調べ、どの程度介護が必要かを判定するための資料となる調査です。
要介護認定申請後に認定調査員が直接本人と面会し、74項目の聞き取り調査を行います。
体の状況にもよりますが、所要時間は1時間程度が多いです。
認定調査で何を聞かれる?
74項目の聞き取り調査の内容は下記の項目です。
1 身体機能・起居動作 ・・ 麻痺があるか、立ち上がれるか、聞こえているか等
2 生活機能 ・・ 移動、食事、排尿・排便、着脱等の介助が必要か
3 認知機能 ・・ 日課の理解、短期記憶できるか、名前を言えるか等
4 精神・行動障害 ・・ 被害妄想、介護に抵抗、ひどい物忘れ等がないか
5 社会生活への適応 ・・ 服薬管理、金銭管理、買い物等の介助が必要か
6 そのほか ・・ 透析、酸素療法、経管栄養等の医療を受けているか
聞き取りだけではなく、歩いたり、起き上がったりと無理のない範囲で動作の確認も行われます。
認定調査を受けるポイント
1 普段の生活をありのまま伝える
普段できていないのに、「できている!」と見栄を張って言ってしまう人がいます。
普段の生活をありのまま伝えることにより、認定調査が正しく行われ、体にあった認定がでます。
2 家族が調査に立ち会う
家族が調査に立ち会い、本人が言い忘れているところ、家族からみて気になるところがあれば、調査員に伝えましょう。特に本人に”認知症”などの病気があり、上手く相手に伝えられないときは家族の付き添いは必須です。
本人の前では伝えにくいことは、メモで伝える、電話で伝える、本人がいない場所で伝える等の工夫をしましょう。
遠方でどうしても調査に立ち会えない場合は電話で伝える等の方法を検討してください。
すでに介護サービスを受けおり、本人の状態をよく分かってくれているケアマネジャーがいる場合はケアマネジャーの立ち合いが可能か相談してください。
3 調査がくるまでに、気になることをメモしておく
調査が終わった後に「あれ言い忘れた!!」ということがないように、伝えたいことは事前にメモをしておきましょう。メモをすることで、今何に困っているのかも客観的に整理することもできます。
4 介助が必要なところや困っているところを具体的に伝える
1次判定は「介助があるか、ないか」「麻痺があるか、ないか」等、機械的に介護度を判定します。
2次判定は、調査員が聞き取った「特記事項」を審査会が精査し、1次判定が妥当であるかを判断します。
例えば、移乗介助(ベッドから車椅子、車椅子から椅子等への乗り移るための介助)について
チェック | 特記事項 | |
---|---|---|
A | 全介助 | ベッドから車いすに移るときに妻が介助をしている。 |
B | 全介助 | ベッドから車いすに移るときに、体重が重く、バランスが取れないため、妻と息子の2人がかりで介助している。本人は痛みのため立位姿勢がとりづらく移乗に10分以上かかる。 |
上記の例で説明すると、1次判定はA、Bどちらも「全介助」にチェックが入り、点数は変わりません。しかし「特記事項」の内容をみると、Bのほうがより介護の手間が必要と読み取ることができます。仮に1次判定でどちらも「要介護3」の認定が出たとき、審査会が行う2次判定で「要介護4」と変更される可能性が高いのはBになります。
介護の手間を正しく判断してもらうために、調査時に具体的な内容を伝えることが重要です。「こんなことは・・」と思うことでも、調査員に伝えてください。
1次判定、2次判定
調査が終われば、ただただ、結果を待つだけです。
1次判定
調査の内容をもとに、コンピューターによる1次判定が行われます。
2次判定
2次判定は保健医療福祉の学識経験者で構成された「介護認定審査会」により行われます。
1次判定の結果をもとに「主治医意見書」や「認定調査の特記事項」から、1次判定が妥当であるかを話し合い、認定を総合的に判断します。
要介護認定の結果通知
申請から約1か月程度で、自宅に結果通知が届きます。
介護保険被保険者証が届いたら「要介護度」と「認定期間」を確認しましょう。
介護保険のサービスを利用する場合、認定結果により、相談する場所が変わります。
要支援1、2 → 地域包括支援センター
要介護1~5 → 居宅介護支援事業所
分からない場合は、申請した窓口や地域包括支援センターに相談しましょう。
認定の結果が思っていたより軽くでた・・・
「要介護だと思ってたのに要支援になった」「隣のおじいちゃんはもっと高い認定だった」等など
納得のいかな結果がでることがあるかもしれません。
そんな時はまず、担当するケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。
地域包括支援センターの職員やケアマネジャーは、今までの経験から、その人がどの程度の介護度なのかおおよそ分かる場合があります。もちろん見ただけで正確な介護度が分かる訳ではないのですが、「この人は要介護はでないな」とか「要介護2か3が妥当だな」等、要介護認定の目安のようなものから、認定結果が妥当か判断できます。
不服申し立て Or 区分変更
認定結果に納得できない場合で、今の介護度ではサービスに支障がでるようであれば、不服申し立てや区分変更をすることができます。
不服申し立て
都道府県に設置されている「介護保険審査会」に不服申し立て(審査請求)を行うことができます。
不服申し立てをすると、認定結果が妥当であったかを審査し、認められれば結果の一部又は全部を
但しこの方法は時間がかかるうえ、現実的な対応としてはあまりもちいられません。
区分変更申請
要介護認定には有効期間があり、定期的に介護度の見直しが行われます。区分変更申請はこの認定期間が切れる前に行う申請のことで、身体状況が変わり、介護認定の見直しを行いたい場合に行います。
認定結果に納得がいかない場合は区分変更申請をすることのほうが多いです。
但し、主治医の意見書が必要になります
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